う蝕予防セミナー
う蝕を削っていませんか?
このセミナーは終了いたしました。
う蝕予防セミナーの概要(レジュメより)
セミナーのレジュメの冒頭部分を紹介いたします。
下のレントゲン写真をご覧ください。
この症例は、19歳女性の方で、左上の第一大臼歯の近心隣接面に象牙質までに達する透過像が確認されます。いつ、どのような方法で、アプローチするのがいいのでしょうか?
- 早期にう蝕病巣を除去し、インレーを修復する
- それともコンポジットレジンを充填する等々
おそらく、ほとんどの歯科医師が以上のような回答をすると考えられます。しかし私が最初に行うことは、う蝕のリスク診断です。
つまりプラークの質や口腔衛生状態、歯髄の感染の有無等の臨床症状を調べ、そしてう蝕の進行を左右する患者の保健行動やライフスタイル、いわゆる社会生態学的な診断を行います。
この症例は、早期発見、保健行動の改善による非修復的治療により10数年う蝕の進行が停止した事例です(下が2023年に撮影したレントゲン写真)。
この事例は決して偶然的ではなく、非修復的治療という戦略をもって、う蝕にアプローチした結果です。このようなアプローチはORCA(European Organization For Caries Reserch)によるう蝕管理ガイドラインにおいても示されています。
う蝕予防の考え方から実践までをセミナーで紹介します
う蝕予防はカリエスフリーだけではありません。う蝕の進行を止められた状態のまま維持するコントロールもう蝕予防です。KWCでは削らずにう蝕の進行を止め、削らないでよい状態を維持する”処置”を「非修復治療(Non-operative treatment or therapy)」とよんでいます(*1)。
「非修復」について、日本歯科保存学会は「非切削」(『う蝕治療ガイドライン 第2版』)と記述しています。また欧州のカリオロジー学会(the European Organization for Caries Research (ORCA))は、non- or micro-invasively(非侵襲的または微小侵襲的)と記述しています。修復にともなう侵襲的治療の restration や interventions と対置しています。
削らなければならないう蝕と削らなくてよいう蝕を診断し、後者であれば非活動性病変として状態を維持する”う蝕コントロール”がう蝕予防です。
KWCは設立から一貫してカリエスフリーと並行して非修復治療にもとづいたう蝕予防を取り組んできました。う蝕における歯科臨床は、修復(介入)を続けてやがて抜歯に至る治療から転換し、生涯を通じた疾病・疾患の管理と歯質の保存に注力すべきと考えるからです。
う蝕予防セミナーでは、非修復治療のう蝕予防について、実習を交えた3つのプログラムを開催します。
う蝕を削る修復治療に疑問を持っていたらぜひご参加ください。
(*1)Ole Fejerskov・Edwina Kidd 編/髙橋信博・恵比須繁之 監訳 (2013). デンタルカリエス 原著第2版 その病態と臨床マネージメント, 医歯薬出版, Part IV 非修復的治療
─ 現在では、”non-invasively”という術語に変遷しています。
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